アンチエイジングの歴史
アンチエイジング(抗老化)はいつの時代も、
多くの人々にとっての永遠のテーマ。
時代とともに解明されていく老化のメカニズムと
注目された成分やトピックスをご紹介します。
1990年代
抗酸化
「酸化(=錆び)」が老化の主要な原因のひとつとして取り上げられ、
ビタミンやポリフェノールなど、体を錆びから守る抗酸化成分が注目されました。
「アンチエイジング」について、一般にも認識され始めた時代です。
活性酸素による細胞損傷が老化の原因であるという仮説が一般化
ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE(=ビタミンACE)が「抗酸化ビタミン」として注目
赤ワイン由来のポリフェノールが注目され始める
TOPICS
「高脂肪食にもかかわらずフランス人が心血管疾患による死亡率が低いのは、赤ワインに含まれるポリフェノールによる健康効果である」とされる、後に「フレンチパラドックス」と呼ばれる論文が発表され、赤ワイン人気が沸騰
この時代に「酸化ストレス=老化の主要原因」という認識が広まったといわれる
2000年代
前半
抗酸化+エネルギー産生
抗酸化の強化に加えて、老化とエネルギー産生の関係が注目されました。
細胞の中でエネルギーをつくり出す小器官「ミトコンドリア」の活性化が
アンチエイジングに欠かせないケアのひとつとなっていきます。
カロテノイド(リコピン、ルテインなど)の抗酸化機能が強調される
ミトコンドリアの働きやエネルギー産生にかかわるコエンザイムQ10が注目される
TOPICS
コエンザイムQ10が日本で食品素材として使用可能に(2001年)
カロテノイドは、紫外線防御や抗酸化による皮膚老化防止という観点でも
脚光を浴び始める
2000年代
中盤
遺伝子と糖化
糖質による体の“焦げ”が注目され、酸化とともに老化の二大原因に。
「生活習慣」、特に「食べ方」が老化に大きく関係することが
一般にも認識され、食生活の改善やインナーケアが話題になりました。
2003~2006年、細胞の老化を抑えて寿命を延ばす可能性を持つ
「サーチュイン遺伝子(長寿遺伝子)」の研究が話題に
→レスベラトロールがこの遺伝子を活性化するという研究が専門誌などに掲載
カロリー制限=サーチュイン遺伝子活性化の仮説が大きく拡散
AGEs(終末糖化産物)と老化の関係が注目され、「抗糖化(Anti-Glycation)」という新しい概念が登場
TOPICS
抗糖化は当初、肌のくすみなど美容領域で注目されたが、
後にアルツハイマー病などとの関係も研究対象に
2010年代
テロメア、オートファジー、
炎症制御
細胞内の不要なものを分解・再利用する「オートファジー」や、
遺伝子を守り、細胞の寿命を決めるといわれる「テロメア」、
そして炎症を抑える働きが老化防止のカギとして注目されました。
2009年、エリザベス・ブラックバーン博士が、テロメアとテロメラーゼの
発見による、
染色体の保護メカニズムの解明でノーベル賞を受賞
2016年、日本人の大隅良典博士がオートファジー研究でノーベル賞を受賞
→アンチエイジング分野でも「細胞の自浄作用」が注目
炎症が老化の中心的メカニズムであるという「炎症性老化(Inflammaging)」の
概念も認識され始める
オートファジーを活性化させる成分として、レスベラトロールやアスタキサンチン、
カテキンに注目が集まる
TOPICS
「抗酸化」から「抗炎症」へとマーケティングの主軸が移り始めた
2020年代
細胞レベルでの若返り実現へ
新たな一歩
2010年代後半から2020年代にかけて、“細胞から若返る”という発想が広がり、「NAD+」という補酵素が話題に。NAD+の前駆体であるNMN(β-ニコチンアミド・モノヌクレオチド)はエネルギー産生や若さを
支える鍵として注目されています。また、ポリフェノールの一種「アピゲニン」は植物の力で炎症や酸化を防ぐ
サポート役として、新たなエイジングケアの一手になっています。
NMNが「サーチュイン遺伝子活性化、ミトコンドリア機能改善」に寄与
アピゲニンがNMNの働きをサポート、オートファジー促進にも関与
TOPICS
NMNに関しては、マウス実験での老化遅延効果が多数ある
クルクミン、ケルセチン、フィセチンなど、オートファジー誘導成分も注目されている
いつまでも若々しく、
すこやかに過ごしたい――
その願いを叶えるために、
アンチエイジングに関する研究は、
これからも続いていきます。